当院で実施できる心理療法(自由診療)

自由診療の専門療法は1回30~60分の診察で、ご利用になる方に必要と思われる下記の中の複数の心理療法を組み合わせておこないます

効果が感じられる治療回数は1回~10回程度
治療に要する回数は抱えておられる課題の複雑さにより異なります

※1 治療中、一時的に不安が強まることがあります
※2 安全な環境におられない場合は治療効果が乏しくなることがあります

どのような診療なのか事前に話してみたい方は受診前相談(自費 20分5,500円 税込)をオンラインでご利用いただけます
受診前相談はCLINCSアプリから予約可能です

弁証法的行動療法

感情の波が大きい、感情に振り回されてしまうなどの自分の感情との付き合い方が上手くいかないことによる症状に対して効果がある心理療法で、感情に関するスキルトレーニングを受けることができます。

具体的には

①感情調節のスキル
②対人関係のスキル
③辛さを乗り越えるスキル
④マインドフルネスのスキル

の4つのスキルを身につけられるようにテキスト(長谷川メンタルヘルス研究所のものを参考にした資料を当院では使用します)を用いて行います。
対面の場合1回約45分、24回前後の面談とその間の宿題に取り組んでいただくプログラムです。
また、全体を通して、感情の調節の難しさを引き起こしているお一人お一人の物語を捉え、先ずはその中で頑張ってこられたことを認めること(専門的には承認と呼ばれるプロセスです)を大切にしています。その上で無理のない変化を促していきます。

スキーマ療法

スキーマとは生まれつきの特徴(HSPや自閉症スペクトラムなどを含む)や、幼少期のトラウマ的体験によって作られた対人関係におけるその人独特な感覚のことです。スキーマ療法では、自分や周囲の人のスキーマを理解して、その感覚に振り回されないように行動を変えることで、社会の中で安心感や満足感をもって生活できるようになることを目指しています。
具体的には

①スキーマやその影響について学ぶ
②自分や他者の行動をスキーマで理解する
③対人関係で困った状況にはまった時の具体的な対処を理解し選択するための工夫を身につける
④自分を困らせているスキーマの原因である、幼少期の満たされなかった欲求を満たし、傷つきを癒すロールプレイ(体験的技法と呼ばれています)や認知行動療法※3
⑤さらにそれを定着させていくプロセスをテキスト(当院では千葉大学子どものこころの発達教育センターのアドバンスレベル国際認定スキーマ療法士である大島郁葉先生のテキストを参考にした資料を使用します)に従って行っていきます。

対面の場合、1回約45分、30回前後の面談とその間の宿題に取り組んでいくプログラムです。

※3 認知行動療法とは、人間の捉え方(認知)と行動、感情、身体反応の関係について理解し、自ら捉え方と行動の変化を起こしてみることで、感情や身体反応が落ち着く体験を繰り返し、安心して生活を送れるようになることを目的とした心理療法です。

TF-CBT:トラウマ・フォーカスト(トラウマに特化した)認知行動療法

トラウマを体験した子どもとその保護者は、どのようにその出来事を乗り越えたら良いか分からず、困ってしまい、さらに心の傷を深めてしまうという望まない結果になることがしばしばあります。このため、TF-CBTは子どもとその保護者を対象にした心理療法で、幼少期に受けたトラウマの影響を加味した認知行動療法※3です。
具体的には

①トラウマについて理解
②リラクゼーション方法を身につける
③感情に気づいて落ち着かせる方法を身につける
④安全な捉え方と行動を身につける
⑤トラウマを想起させる出来事をコントロールする工夫をみつける
⑥トラウマとなる体験について安心して話しをして整理する(保護者は安全に聴くスキルを身につける)※他の身体にアプローチする心理療法を組み合わせることが多くあります
⑦子どもと保護者の合同セッション(トラウマとなる体験を共有する)
⑧現在と将来の安全な発達を強化するというプロセスがあります。

対面の場合、1回約45分で30回前後の面談とその間の宿題に取り組んでいくプログラムです。
当院では「あなただけの大切なTF-CBTワークブック(第2版)」兵庫こころのケアセンター、大阪大学学校危機メンタルサポートセンター訳、2014.6 原著YOUR OWN TF-CBT WORKBOOK Alison Hendricks, Judith A. Cohen, Anthony P. Mannarino, and Esther Deblinger※4を用いて実施していきます。

※4 https://www.j-hits.org/_files/00127394/tf-work20140606.pdf

思考場療法(TFT)

鍼のツボを症状に合わせた手順に従ってタッピングすることであらゆる心理的問題を改善させていく心理療法です。セルフケアとしても利用できます。動画でもわかりやすく手順が紹介されていますので、詳しくはこちらのサイトをご参考になさってください。https://www.jatft.org/
対面の場合、1回10-30分程度の時間のお時間を要し、治療に要する回数は症状により大きく異なります。複雑な症状の場合は他の治療法と組み合わせて実施していきます。

ボディーコネクトセラピー(BCT)

鍼のツボをタッピングしたり、目の動きを使うなど、身体にアプローチする心理療法を組み合わせて藤本昌樹氏が日本人に最適化して改良した心理療法です。トラウマ体験により凍り付いている感情を一つ一つ開放し、気持ちの整理をしていきます。対面の場合、1回30分-60分の面談で10-30回程度繰り返して行います。

 

認知や行動に働きかける上から3つの手法はトップダウンの心理療法と呼ばれてるものです。最近は身体感覚や自律神経(感情)にアプローチする、ボトムアップの心理療法(ここではTFTとBCTがそれにあたります)が様々な効果があると注目されています。

オープンダイアローグ

家族療法から発展した対話による治療法です。決まったプログラムがあるわけではないですが、安心安全に配慮した対話の場を継続して開きます。特に話すことと聞くことを分けることで、ゆったりしっかりと相手の言葉や自分の心の声に耳を傾けることにより、他者との違いや自分の中にも多様な側面があることに気が付き、患者さんだけでなく、患者さんのネットワークの人と人の間の関係性に変化を起こしていく手法です。こちらは、1回45分から90分の対話の場を、患者さんのご希望に合わせて、医師との相談で必要時に行う心理療法です。ただし、当院ではスタッフ数や診療時間による制約もあるため、頻度は診療時間内に可能な範囲で対応させていただくことになります。

その他

当院では実施していませんが、トラウマケアに効果があると言われている心理療法は以下のようなものがあります。ここに書かれている以外にも多くの心理療法が開発されています。

EMDR、ソマティック・エクスペリエンシング(SE)、ブレインスポッティング、ゲシュタト療法、エネルギーヒーリング、Safe Sound Protocol(SSP)、フラワーエッセンス、ブレインジム、CRM(総括的リソースモデル)、ホログラフィートーク、ニューロフィードバック

自由診療と保険診療の併用について

厚生労働省は、自由診療と保険診療との併用(いわゆる混合診療)を認めていません。同一の疾患に対して、自由診療から保険診療に切り替えることは混合診療とみなされます。当院で自由診療を開始された方は、その後、同じ疾患に対しての全ての診療が自費診療となります。途中から保険診療を希望される場合は、他の医療機関にご紹介することになります。